こんにちは、不動産のお父さんです。
不動産の営業活動をしていると、認知症の父親名義の不動産を売りたいというご相談をよく受けます。
結論を申し上げますと、すぐにご売却する事はできません。
認知症と診断された人、本人による契約は原則無効となるからです。
また、例えば親族で強引に代理人を立てたとしても、認知症診断を受けている時点でこれもまた無効です。
それではどうすれば不動産を売却できるのでしょうか?
本日は、認知症診断を受けた両親名義の不動産売却方法をご紹介します。
この記事の信頼性として、
わたくしこと不動産のお父さんは、10年以上大手不動産仲介会社に勤務。
退職するまでに関わった契約は1000件を超えています。
そんな、実践と実績を残してきた営業マンから、教科書的な事ではなく、より
実務目線でのリアルなアドバイスを行いますので、ご参考になればと思います。
成年後見制度を利用する事で不動産の売却をする事が可能です。

認知症の両親名義の不動産を売却したいという時の方法として、成年後見制度を利用する方法があります。
成年後見制度とは、認知症によって意思判断能力が十分でなくなった人の為に、本人の為に、本人に代わり、本人の財産を管理する「後見人」を家庭裁判所が選定する制度です。選定された人の事を「法定後見人」と呼び、不動産の売却を任せる事が可能となります。
成年後見制度にて後見人が選定された後の不動産売却手順
後見人が選定されると、法務局にて後見が開始された事の証明書となる、
登記事項証明書を取得する事が可能となります。
この登記事項証明書及び下記の書類一式を準備し、契約手続き(媒介契約と呼びます)を行う事で、不動産会社へ売却活動の依頼ができます。
必要書類一式
成年後見登記に関する証明書(登記事項証明書)(原則原本必要です)
本人の身分証明書(原則、顔写真付きのもの)
本人の印鑑証明書
本人の実印
後見人の身分証明書(原則、顔写真付きのもの)
後見人の印鑑証明書
後見人の実印
*上記必要書類一式以外にも不動産会社によっては必要とする書類がある可能性もあります。
不動産会社へ逐一確認しましょう。
記入すべき書類
上記の書面の氏名・住所欄に
○○○○○○○○(所有者本人の住所)
○○○ ○○(所有者本人の氏名)
上記成年後見人
○○○○○○○○(後見人の住所)
○○○ ○○ 印(後見人の氏名)
という形で記入、押印をします。
不動産売買契約完了後に、裁判所に許可をもらう必要がある。

無事、不動産の売買契約が完了しても、それで終わりではありません。
特に後見制度を利用している場合、契約書及びその他必要書類を準備し
家庭裁判所へ売却許可の申請を出さなくてはなりません。
もっと言うと、売買の契約をしても裁判所の許可がでないと物件の引渡しができないのです。
なので、通常、成年後見制度による不動産売買契約には、特約として、
売主が家庭裁判所にて許可手続きを進めた結果、売却が否認された場合には契約を白紙解除にしましょう
という内容を盛り込みます。
「認知症診断はまだ受けていないけど、父親の状況があやしいよ」という時

そのような時には、まず不動産営業マンへ素直に相談しましょう。
不動産営業マンはまずご本人様と面談を行います。面談を行った後、更に営業マンが司法書士を連れてきます。最終的にはこの司法書士が後見制度を利用しなくても進められるかどうか、ある程度判断してくれます。
認知の疑いがある中で、不動産売却を進めた結果、売買の最後、決済時に司法書士から所有権移転登記を断られる可能性があります。これは大トラブルに発展してしまいます。
決して隠すことなく、不動産会社へ相談するようにしましょう。
不動産の売却相談に関するアドバイスはコチラの記事をご参考下さい。