こんにちは不動産のお父さんです。
本日は、
急な転勤辞令が出てしまい、急遽引越しする事になった。この持ち家はどうしよう?

急な転勤辞令が出てしまい、急遽引越しする事になった。この持ち家はどうしよう?
と悩んでいる方へ向けて、
選択肢のアドバイスをご提案できればと思います。
この記事の信頼性として、
わたくしこと不動産のお父さんは、10年以上大手不動産仲介会社に勤務。
退職するまでに関わった契約は1000件を超えています。
そんな、実践と実績を残してきた営業マンから、教科書的な事ではなく、
より実務目線でのリアルなアドバイスを行いますので、ご参考になればと思います。
急な転勤の際、持家をどうするかは3通りに分かれます

ずばり
売却or賃貸or空家にしておく
いずれかの選択肢になるかと思いますが、
以下、それぞれメリット・デメリットについて纏めます。
売却のメリット・デメリット
メリット
物件を空家のまま置いておく人が一番おっしゃるのは、維持・管理の大変さのようです。
維持・管理は特に室内よりも室外の整理、夏場であれば庭の雑草除去。冬場であれば特に寒冷地となると、冬場の除雪作業。
これらの管理を放置しておくと近隣の方へも迷惑をかけてしまう可能性があり、気を配らなければなりません。
住宅ローンの借入可能額はご年収に応じて検討されます。
物件2つをローンで借りるという事自体は可能なのですが、相当なご年収がないと、
2つ目の物件は「残債抹消条件付き」で承認となる可能性があります。
結局、転勤先の住宅を「買う」のであれば、今の自宅を売らなければ買えないという事ですね。
自宅を先に売却(契約)予定であれば、引越し先の物件をいざ買うとなってもスムーズに進める事ができます。
ここは、絶対に抑えておきたいところですが、
居住用として実際に住んでいる自宅を売却する場合、
お引越ししてから3年以内であれば「居住用財産の非課税制度」を利用できる可能性があります。
自宅売却時に発生する税金をある程度まで非課税にできる制度です。(詳細はリンク先をご参照下さい)
あくまでお引越ししてから3年以内が原則になっていますので、例えば賃貸で貸して3年以上経過してしまうと利用できなくなります。
売却・賃貸いずれかを比較する際には必ずこの点も抑えるべきですね。
デメリット
思い切って売却しようと思っても、実際の売却額だけで残債が全て抹消できない可能性もあります。
そのような時には費用の持ち出しが必要になりますので、しっかりと費用の計算(計画)をたてて考えたいところですね。
家を空家のまま置いておけば、転勤から戻ってくるとなってもすぐに住む場所を確保できますが、
売却してしまうとまた物件を探す手間が発生してしまいます。
手間に加えて買うにしても、借りるにして費用が掛かりますので注意が必要です。
自宅を売却する為には各種費用が掛かります。
特に費用項目で重たいのが「仲介手数料」
これは物件価格の3%+6万円の費用必要で、
例えば物件価格3000万円でも約96万円にさらに消費税を加えて100万円を超える費用が必要です。
この他には住宅ローンの抹消費用、登記に掛かる費用等、細かい部分を加えると結構な諸経費が必要です。
頭の片隅に入れておく必要がありますね。
賃貸のメリット・デメリット
メリット
賃貸オーナーとして、収益を享受できるのは魅力の1つになると思います。
ただし、収益の目安を換算する際には、毎月の住宅ローンの費用、固定資産税等の各固定費を差し引いても原則+収支になる事が大事です。
このあたりの考え方については【自分の不動産、賃貸と売却どちらが得するの?】比較の仕方をまとめます。により詳しく記載していますので、ご参考になればと思います。
お気に入りの自宅であれば尚更、転勤から戻ってきた際に改めて住みたいですよね。
賃貸で貸す事で、毎月の費用を相殺しながら自宅は所有を続けるという選択肢が生まれるのはありがたい事です。
賃貸で貸す事で1事業とみなされ、各種固定費を経費として計上できる可能性があります。
デメリット
こうなってしまうと、大きなトラブルに発展するケースもあります。
実際、わたしもオーナーから委託を受け、物件の管理を多数行ってきましたが、
自宅に戻りたいというオーナーの要望をすぐに受け入れる賃借人は10人1人ぐらいでした。
また、立ち退きの交渉時に賃借人から多額の費用を請求される場合が多く、
払う払わない、出ていく出ていかないのオーナー&賃借人間のトラブルは本当に日常茶飯事です。
これも相当な確率でありえる事だと考えて下さい。
せっかく大事に、きれいに住んでいた自宅があっけなく賃借人に汚される可能性…高いです。
「とは、いっても退去時に現状回復してくれるんでしょ?」とお考えであれば、
その考え、甘いです。
まず現状回復の要項自体、国土交通省によってガイドラインが作成されていますが、
原則「賃借人寄り」に作成されていると考えて下さい。
(ガイドラインのリンクを貼っておきますので、読んでみて下さい)
なぜ、賃借人寄りなのか?
これは物件を貸し出すという時点でオーナー様はあくまで事業者とみなされ、
消費者となる賃借人を守るという原理が働くからです。
そうです、物件を貸し出す時点でオーナー様は事業者になるのです。
一般消費者ではありません。その事によって賃借人とは対等では無い。
という事を事前によく理解しておく必要があります。
賃貸募集は売買と違い、繁忙期に左右されやすいです。
繁忙期:9.10.1.2.3月
の人の異動時期です。
この異動時期に入居が決まらなければ、次の繁忙期まで半年寝かせなかればならない。
なんて事も物件によっては全然ありえます。
*賃貸で貸すコツとして
保留しておくメリット・デメリット
メリット
賃貸で貸すとどうしても使用に伴う劣化・破損等が生じてしまいますが、
空家のままにしておくと、ある程度現状を保つ事ができます。
転勤から戻ってきた時に、簡単な清掃だけで住む可能性がありますね。
売却したり、賃貸に貸したりしてしまうと、自分達が戻りたいタイミングで戻れない可能性が高まりますが、
空家にしておけば当然、すぐに住めますね。
家族全員で一度転勤先に引越したけれど、ご主人だけ残して結局奥様と子供は戻ることになってしまったという方。
結構いらっしゃいます。
賃貸募集を開始していたけど、急遽取りやめ。広告中止。
よくあります。
空家にしておきば、そのような事に臨機応変に対応できます。
デメリット
室内設備等は、一旦使わなくなってしまうと、故障が生じる可能性があり、
また床、壁に使用されている木材や仕上材なども換気・通風がなされない事で、
痛みが進行する場合があります。
設備機器というものは、毎日のルーティンで回転する事で現状を保つ事があるのです。
これは重要です。
空家にしておく事で防犯(空巣被害や放火、浮浪者が勝手に住み着くといった)上の問題の心配が生じますし、常につきまという事になります。
保険をかけておけば安心という事ではなく、
何かあったときに、場合によってはご近所に大変迷惑、被害を及ぼしてしまう可能性もあるのです。
空家にしておく際には、
定期的な点検を行う事はしっかりと検討すべきです。
賃貸で貸し出すと賃料相殺等がある程度できるのですが、
空家のままですと、ダイレクトに経費が掛かってきます。
お引越し先との2重払いに苦しみ、結局自宅を手放す方も結構いらっしゃいます。
事前のご計画で2重払いが生活上、問題ないかどうか、しっかりと検討すべきです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
売却・賃貸・保留(空家)
どの選択肢もメリット・デメリットがあり、一概にどれが良いとは言い切れず、
ご家族の状況や収入。今後のご計画等も含めて総合的に判断が必要だと思います。
ただし、経験則として強く伝えておきたい事があります。
メリット・デメリットにも記載はしてきたのですが、
- 賃貸で貸す時点でオーナーは事業者となる
この点について、考え浅く、賃貸で貸す事を決定する方が本当に多いです。
結果的に、貸した後で
各設備についての修繕依頼が絶えず、都度対応しなければならない
退去して欲しいと思ったけど賃借人がとりあってくれない
という事で悩み、トラブルとなってしまうオーナーが多いです。
本日の記載の中でも、特に、
賃貸を本格的に検討する際には、このリスクについて改めてご自身でも
トラブル事例などを調べ、リスクについて考えて下さい。
また、あくまで自宅ご売却で進めようと考える場合にも、
不動産営業マンの言うことを鵜呑みにするのではなく、
複数社に相談し、総合的に判断するように心がけましょう。
この点についての理由などについて以下の記事をご参考下さい。